建物の構造には、火災時の耐火性能の違いに応じて、耐火構造と防火構造の2種類があります。
両者は似ているようですが、実はかなりの違いがあります。そこで両者の特徴や違いについて解説していきます。
耐火構造とは
耐火構造とは、住宅金融公庫から改称された住宅金融支援機構によって規定されている建物の構造のことです。
主にRCと呼ばれる鉄筋コンクリート造やレンガ造、鉄鋼モルタル構造の建物が多いですが、中には耐火構造を持つ木造住宅もあります。
耐火構造ですが端的に言えば、耐火構造は火災発生時に建物の倒壊や周囲への延焼を防止できるような構造を持つ建物を指しています。
その特徴の1つは、外部で火災が発生した際に外部の建物からの延焼を防ぐ構造を持っています。
屋根は火の粉による延焼を防ぎ、外壁や軒裏も建築基準法に基づく防火構造をもっています。
日本では火災発生から消しとめられるまでおよそ30分から3時間という時間がかかります。
そのため耐火構造にはその時間内で火に耐えられるだけの耐久性能が求められます。
2つ目の特徴としては、建物内で火災が起きても一定時間は火災の起きた部屋から火を出さないという構造をもっていることです。
そのため壁や天井に火に強いせっこうボードが用いられ、火が燃え広がる時間を遅らせることで避難する時間や初期消火をおこなう時間を稼いでくれる構造となっています。
さらに3つ目の特徴としては、他の部屋に燃え広がりにくくするために燃え広がる際の火の通り道となる壁や天井にファイヤーストップ材を用いています。
これによって他の部屋への延焼を遅らせることができます。
防火構造とは
一方の防火構造は、建築基準法に基づく構造のことで、外壁と軒裏に防火性の高い材料を用いた構造を指しています。
特に都市部の隣家同志で距離がほとんど離れていないようなエリアでは、ひとたび火災が発生するとすぐに隣の家に燃え広がってしまいます。
そこで防火構造とすることで、延焼を防いでくれます。